米国でのアマチュア無線運用 KN6RJ 
坂本 正彦
はじめに

 外国でアマチュア無線を運用するためには当然の事ながら運用許可が必要ですが、車の運転とは異なり、 国際免許なるものは無いため短期間の運用であってもそれぞれの国の運用許可を取る必要が有ります。 米国での運用許可をとるには以下の二つの方法があります。

1) 相互運用協定を利用する
2) 試験を受けて免許を取る

しかしながらここ米国では1999年2月から相互運用協定によるレシプロ運用でも書面によるFCCの許可を 取る必要は無くなり、日本のアマチュア無線従事者免許証及び無線局免許状を所持していれば米国に到着 した時点から無線局の運用が出来るようになりました。従いましてロスの国際空港ロビーに出てきた時点 でSCJHCのリピーター等へのアクセスが出来る様になったわけです。もちろんレンタカーを借りればモービル 運用もOKです。

 これら免許取得の方法については「米国で運用するためのTip集」 を参照して下さい。 さて実際に許可 [相協] 又は免許をもらったら早速電波を出したいところですが、 以下の点についてちょっと、もうちょっとだけ注意が必要です。

*運用出来る範囲
HF:
米国では取得した免許の資格により運用出来る周波数範囲が異なりますしバンド幅も日本のバンドプランと 異なる部分があります。たとえば7MHz帯ではCWを除き同一の周波数での運用は出来ず送信と受信の周波数をず らして運用するなどの方 法が必要です。 相互運用協定による免許の場合は日本とアメリカ両方の免許の運用 範囲に従い周波数の重なる範囲でのみの運用になりますので注意が必要です。日本で4級(電話級)の免許の人は アメリカのTechnician Classに相当しますが、アメリカではHFの運用は出来ません。

VHF/UHF:
これらの周波数帯でも日本で許可されていない周波数での運用は出来ません。例えば220MHz帯、 2mの146MHzから上の周波数など。この様に相互運用協定による免許はかなり限られた範囲での運用になりますが、 我々の保有するレピーターの周波数、1.2GHz帯の様に日本と同じバンドプランの物も有りそれなりに楽しむ事は 可能です。

バンドプランの詳細は、KC6EASの記事を参照して下さい。

*無線局設備
無線機:
アメリカのハムの免許は包括免許で試験を受けて合格し免許証が手元に届いた時点でCallsignも自分の物と なり、無線機とアンテナさえあればその時点で運用が可能になります。日本の様に従事者免許と無戦局免許は別 れていませんし無線機の認定が必要などという事は有りません。

アンテナ設備:
アンテナ設置については相互運用、現地免許に関わらずかなりの注意が必要です。

  1. アパート住まい:
    アンテナを外に立てる事はまず出来ないと思って下さい。UHFの様に小さなアンテナでも、たとえそれが軒下で あっても許可がおりる可能性はまずありません。部屋の天井や屋根裏にワイヤーを張り巡らすか、小さな短縮型 かビームアンテナを天井からつるす程度で我慢するしかないでしょう。
  2. 一戸建て住宅:
    購入した自分の家であっても日本の様に好きなところにタワーを建てたりする事はできません。築十年程の新 しい家で日本の新興住宅地の様に同じような家がたくさんあるところはそのコミュニティ ーの規則 (CC&R) が 有りタワーはおろかTVアンテナさえも戸外や屋根の上に建てる事はできません。15年以上たった家で屋根に TVアンテナが 建ててある所なら可能性はありますが、それでもハムのアンテナはダメと言うところがほとんど ですのでアンテナを立てるために家を購入する場合は十分な下調べが必要です。近くにタワーの立っている家が 有るか らといって安心は出来ません。道路一つ隔てただけでそこは外国かと思 うくらい規則が厳しくアンテナ を立てるのを断念した人もいます。CC&R だけでなく市役所 (City hall) へ行ってアンテナが建てられるかどうか 確認したほうが良いでしょう。借家の場合は大家さんの許可は必ず取り、かつ書面にしておくことが必要です。 近くにハムが住んでいればその人に聞くのも良いでしょう。アンテナについては苦労しているはずですので 適切なアドバイスをしてくれるでしょう。
    私の住んでいる家は築 16年ほど経っていますが、例にもれず、ハム用のHFアンテナを屋根に上げる事は 出来ませんでした。しかしながら家に付随せず独立した設備、つまり自立タワーで家から離れた所に建てるので あれば可能だった為、念願のクランクアップタワーを建てる事が出来ました。 もちろん市の許可は必要でした。
    広大な敷地をもつ田舎の一軒家でも安心は出来ません。W6ANAの記事 を参照下さい。
*送信出力
 運用範囲と同様アメリカで許可されている出力を超える事は出来ませんし、また相互運用協定に よる免許の場合、日本の免許の出力許可範囲を超える事は出来ません。例えば、日本で2アマの免許を持っている 人はアメリカのGeneral/Advancedに相当しますが、1.5KWの出力を運用する事は出来ず日本の免許の範囲で ある200Wまでの出力が可能です。
*オペレーションの方法
 さて、実際のオペレーションで日本と大きく異なるのは VHF/UHF帯での運用ででしょう。ここ米国では リピーターを使用してのコンタクトが一般的で、日本の様にメインチャンネルでコールし相手を探した上で サブチャンネルへ移るというようなことはほとんど有りません。従いましてJAから持ってきた2mHTの メインでいくらCQを出しても誰もこたえてくれないでしょう。
 このような訳で米国でVHF/UHF のFMをメインに運用したいと思う人は「リピーターの周波数表」を購入する 必要が有ります。 これにはその土地あるいは全米のリピーターの設置場所、周波数、トーン、オープンか クローズドかなどの情報が書き込んでありそれさえあればカナダを含む北米中どこへ行っても相手に困る事は 無いでしょう。この小冊子は「Ham Radio Outlet」等で入手出来ます。ハムのリピーターのカバーエリアは 携帯電話のそれよりもはるかに広いと思って間違いはないでしょうし緊急の場合でも必ず誰かが聞いています。

 実際に運用する場合は、まずいろいろな所のリピーターをワッチして見てください。そうしているうちに ここなら自分にあいそうだなというところが見つかります。 昼間は静かでも朝夕はかなりにぎやかなはずです。 我々のリピーターの様に日本語だけのもの、中国語、ベトナム語、スペイン語、タガログ語等いろいろな言語の リピーターが有りますが、これらのほとんどははクローズドリピーターで会員同士の連絡用であり会員以外の方は 原則として使用できません。それでもブレイクインして入っていくと結構歓迎してくれて会員にならないかと 誘われる事もあります。
 これに対してオープンリピーターは誰でもアクセス可能です。トーンは入っていないものがほとんどですので 周波数のシフトさえわかれば簡単にアクセス出来ます。さて、ではどうやって話し相手を探すのでしょうか?  日本の様にメインチャンネルでCQ CQとやる訳にはいきませんしリピーターでCQを出している人は、 ここではまずいません。リピーターをワッチしていると「KN6RJ モービル、モニタリング」という風に 声を出している局が必ず聞こえてきます。これは 「こちらはKN6RJ、どなたかお聞きの局は ございませんか?」と言う意味でCQを出しているのです。そのような局がいたら「KN6RJ,This is XXXXXX.」 と声をかければすぐに相手からコールが返って来るはずです。そうすれば後は通常のQSOと同じで自己紹介等 をして初回は早めに切り上げます。次回からはすでに十年来の友人のような感じで返事が返ってくるでしょう。 オープンリピーターの場合公共性が強いため、そこでロングラグチューをしている局はまずいません。 マナーも日本の430のリピーターとは比較にな らないくらい良好です。

 リピーターでの運用で気をつけなければならない点は日本と同様です。自分の番が回ってきたらPTT を押す前に1―2秒のブレイクタイムを必ずあける。 ブレイクインする場合は話の内容も考慮したうえで タイミング良くブレイクする事。 タイムアウトは通常3分程ですので長話しはしないように気をつける。 等、常識の範囲ですのでエンジョイしてください。

以下次回

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